裾ずる衣の思い宿り

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春をきり売る美しい人 華咲き乱れる花の園で 最も美しく咲いた華 指紋だらけのその躰 磨り切れ白く輝くばかり 貴方に纏われこの私 誰より綺麗に映るでしょう? たとえ一度の逢瀬でも うまれた意味がもてるほど 貴方が纏うは衣にあらず 隠しきれない秘めし想い 高い矜持は其れを許さず 知るは衣の私だけ 微笑み別れを告げた後 堪えきれずに見たでしょう? 引きずる衣に残るのは 振り向き出来た布溜り 潔い其の背中 迷わず華宮に納まった 其れでも私は知っている 紅花ばかりの此の花園で ただ一輪咲く白い花
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