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世界は一つの理で支配されていた。
この世界には、この世の豊穣と安寧に満ちた楽土をもたらす『竜』がいた。
例えどんなに荒れ果てた土地でさえも、竜がそこを歩けば草花が芽吹き、緑が生まれた。
そこに竜が横たえれば、生き物達が集い、一つの理想郷が体現した。
この地に住まう人々は皆、竜に選ばれた民達である。
竜に選ばれた人々はその事に誇りを持っていた。
その中で、最も誉れ高き存在があった。
『歌姫』と呼ばれるそれは、竜に感謝と祈りを捧げる者のことを言う。
唯一の存在である『歌姫』は、世界の安寧の為に感謝と祈りをその美しい歌に乗せて、竜に捧げる。
今も昔も、それは変わることなく巡り続けている………。
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