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その鬼…土方さんは私達の元へ来るなり、沖田さんに詰め寄りました。
そして沖田さんを軽く締め上げながら呪文のように小さな声で、
「総司?何がいいんだ?団子か?大福か?それともこんぺい糖か?」
と言っていました。
端から見れば気色悪いとしか言いようがありません。
当然、平隊士の方は完璧な鬼の面を被った、恐怖の対象である土方さんしか知らないわけで。
錯乱した土方さんを見る目は様々でした。
・・
あの副長が…
と言う声が一番多かった気がします。
幹部の皆さんはそんな人間味溢れる鬼の姿は見慣れているようで、大して気にしてはいません。
微妙な空気の中、締め上げられた沖田さんは顔色ひとつ変えずに、寧ろ至極楽しそうでした。
挙げ句の果てに、
「そうですねぇ…。じゃあお言葉に甘えて、団子30本、大福30個、こんぺい糖1kgでいいですよ。」
なんて言っていました。
「あの…、結局"豊玉"さんて?」
小越さんはおどおどしながら、小さな声で私に尋ねてきました。
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