幼なじみ

9/17
前へ
/47ページ
次へ
「ただいま~」 「おかえり、真治。楓ちゃんも一緒か。まぁ、ゆっくりして行きなさい」 店番をやっていた、覇気の無い優男。真治の父親、西村一真だ。 「ちょっと荷物置いてくるな」 「うん、わかった」 楓にそういい残し、店の中で待っていてもらう。真治は、自分の部屋がある2階に向かった。 2階には、真治の部屋、父親の部屋、そして、開かずの間と言われる部屋がある。 「・・・・・・」 音を立てないよう、慎重に自分の部屋に入った。 「まだ・・・居るんだ」 真治が、開かずの間の主に聞こえないよう小さい声でつぶやいた。 2階の開かずの間、その部屋には、真治の父親の弟、和也が居る。 一度、間違ってドアを開けてしまったら・・・ 『とっとと失せろ!!!糞ガキ!!!!!!!!!!!!!!』 と、年端も行かない子供だったのに、思い切り怒鳴りつけられた記憶がある。 それ以来、それがトラウマとなり、和也の部屋にはなるべく近づかないようにしている。 真治の記憶の限り、1度も部屋から出てきた姿を見たことが無い。 20年以上、部屋に篭りきりなのだ。 (・・・気持ち悪いよな。やっぱり) さっさと荷物を置いて、真治は楓の待つ店内に向かった。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加