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「ただいま~」
「おかえり、真治。楓ちゃんも一緒か。まぁ、ゆっくりして行きなさい」
店番をやっていた、覇気の無い優男。真治の父親、西村一真だ。
「ちょっと荷物置いてくるな」
「うん、わかった」
楓にそういい残し、店の中で待っていてもらう。真治は、自分の部屋がある2階に向かった。
2階には、真治の部屋、父親の部屋、そして、開かずの間と言われる部屋がある。
「・・・・・・」
音を立てないよう、慎重に自分の部屋に入った。
「まだ・・・居るんだ」
真治が、開かずの間の主に聞こえないよう小さい声でつぶやいた。
2階の開かずの間、その部屋には、真治の父親の弟、和也が居る。
一度、間違ってドアを開けてしまったら・・・
『とっとと失せろ!!!糞ガキ!!!!!!!!!!!!!!』
と、年端も行かない子供だったのに、思い切り怒鳴りつけられた記憶がある。
それ以来、それがトラウマとなり、和也の部屋にはなるべく近づかないようにしている。
真治の記憶の限り、1度も部屋から出てきた姿を見たことが無い。
20年以上、部屋に篭りきりなのだ。
(・・・気持ち悪いよな。やっぱり)
さっさと荷物を置いて、真治は楓の待つ店内に向かった。
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