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「おまたせ。さぁ、行くか」
「待て真治」
リュックを背負って、さっさと家を飛び出そうとした真治を、父親が呼び止めた。
「リュックの中身を見せなさい」
「え~・・・」
と、言い終わる前にリュックを奪われてしまった。
父親が中身を開くと、そこには大量のお菓子が。
「・・・もう大人なんだから、お菓子は自分のお金で買いなさい。去年も言ったよな?」
去年・・・前に帰って来たのは1年前の夏休み。そのときも、同じことをやって、同じように怒られた。
「今日は許して!お願い!!楓もこう言ってるしさ」
「私何も言ってないよ~」
全く乗ってこない楓を見て、父親はため息を吐いた。
「楓ちゃんは何も言ってないみたいだが?」
「俺には心の声が聞こえるんだよ!!」
自分でも、下手な言い訳だと思う。だが、何も言い返せなくなったら、何も手に入らない。
「・・・しょうがない。今日1日だけは見逃してやる。明日からはお金取るからな」
「さすが父さん!大好き!!じゃあ、行ってきます~」
「調子のいい息子だ・・・全く」
父親の一言を最後まで聞くことなく、2人は真治の家を出て行った。
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