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10分ほど歩いて、楓の家の前についた。
公園が1つ、丸々入りそうな広大な土地の中に、豪邸が建っている。
さすが村長の家・・・と、大きくなってから思うようになったが、子供の頃はそんなの関係ない。
幼なじみ6人、ほとんど毎日楓の家で遊んでいた。
楓がいなくても、勝手に入り込んでは、日が沈むまで遊び倒す。
途中、楓も混ざり、夜ご飯を楓の家で食べて帰ったら、仁志と華子が大体怒られるのだ。
仁志の家も華子の家も、そういうことには厳しい家だったのだが、6人で食べるご飯は、やっぱりおいしかったし楽しかった。
そんな、幼い頃の記憶を回想しつつ、楓の家に上がった。
「ただいま~」
「おじゃましまーす」
楓のお母さんは、出産のときに体調を崩して、そのまま亡くなってしまったと聞いている。
だから、家政婦2人を雇い、彼女らに身の回りの世話をしてもらっている。
とはいえ、楓も20歳間近。もう子供ではない、と言うことで、最近は家政婦並みに家事をこなしているようだ。
「愛さん、今日は夜ご飯お願いしていい?みんな、うちに集まるみたいだから」
「了解♪大丈夫、用意はしてあるからね!」
「ありがとう」
歳は割りと離れているはずだが、この2人は本当の姉妹のように仲がいい。
そして、真治も、彼女とは仲良くやらせてもらっている。
「お久しぶりです、愛さん」
「っと、真治君。あらら・・・・・・・・・」
ふっ、と愛さんの顔に影が落ちる。何か、嫌なことでも思い出したのだろうか。
「愛さん?」
「っと、ごめんごめん。真治君、ゆっくりして行ってね!」
「はい!今日は大分騒ぎますよ!!」
「後で混ぜてくれる?」
「お断りします!」
笑顔で拳骨を落とされた真治は、楓に連れられて楓の部屋に入った。
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