5人が本棚に入れています
本棚に追加
森のカーテン、と言えばいいのだろう。
日差しは、木々から生い茂る緑の葉っぱが遮ってくれる。
うだるような暑さでも、鬼神村へ続くこの道だけは、涼しく歩きやすい。
(みんな・・・どうしてるかな・・・)
村には、真治と同い年の幼なじみが5人居る。
彼らは、高校を卒業しても、みんな家に残っていた。
真治のように、村の外へ出て勉強できるほど、裕福な家ではない。
その分、真治は幸せだったといえるのだろう。
真治が唯一、村の外で生活できる可能性を持っているのだから。
(将来・・・みんなで一緒に、村の外に出られればいいな・・・)
それが、真治の夢だ。
誰か1人でも欠けてはいけない。幼なじみ6人は、死ぬまでずっと友達。
そのためにも、真治の告白は、絶対に成功させなければならない。
(うぅ・・・やっぱ緊張してきた・・・)
と・・・村の外に一番近い建物が見えてきた。
それは・・・村と外を繋ぐライフライン。変電所。
ここに何かあったら、村に電気が届かなくなる。
すぐ横に、変電所の整備士が寝泊りできるようにと、バラックのような小さな小屋が建てられている。
それが、村の入り口。後5分もしないうちに、村が見えてくる。
1軒・・・また1軒と、民家が見えてきた。
そして、森を抜けると・・・
「よぉ~」
「元気してたか?」
「相変わらず澄ました顔だなぁ」
「変なこと言ってからかわないの!」
幼なじみたちが待っていてくれていた。その後ろに・・・
「おかえり、真治」
真治が好きな・・・楓も立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!