5人が本棚に入れています
本棚に追加
「まず龍二、お前のほうが澄ましてるぞ?」
「るっせぇ!」
真治に澄ましてる、と言い放ったのは、幼なじみの中で一番誕生日が早い、朝倉龍二。
龍二の誕生日は、4月15日。誕生日が早いだけではなく、みんなの中では、一番強い。
背も高く、力持ちで、その上傲慢。
みんなのリーダー的存在だ。
「ほらほら、2人とも。せっかく真治が帰って来たんだから、突っかかっちゃダメ」
2人の間に入っているのが、幸島華子。
龍二が暴走したとき、それを止めるのが、華子の役目。
巧みな話術を使って、龍二を黙らせてしまうのだ。
まぁ、理屈っぽくて、やかましいだけだ、と言ってしまう事も出来るのだが・・・
それを言ったら、龍二の暴走を止められる奴が居なくなってしまうから、誰も言わない。
「これはスキンシップだよ!な、真治」
「どうだかな~」
「澄ましてんじゃねぇ!!!」
「龍二、怒るよ!!!」
犬猿の仲だったこの2人、実は付き合っている。
華子の誕生日が、6月4日。その日に龍二が告白したというのだから、龍二はずっと華子のことを想っていたのだろう。
この話を聞いたときは、真治も焦ったものだ。
でも、幼なじみ同士のカップルが誕生したことは、真治にとっても励みになった。
これで、自分も頑張ろう、と思えたのだから。
最初のコメントを投稿しよう!