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可愛い後輩…まぁ、小せぇ時に助けた(その話はまた追々…。)恭弥に懐かれ、可愛がっていた恭弥の家の黒塗りのベンツで駅近くまで送られ、現在満員電車で格闘中だったりするオレ。
くそ狭ー。
満員電車で周りは会社員のお姉さんから脂ぎったオッサンまで老若男女様々。
学生はあんま居ねーな。
居たとしても部活の朝練だろうな…今日は入学式だから部活自体ねーだろうけどよ。
『ッチ…。』
舌打ちするとそれが聞こえたのか、オレの目の前に立っていた美少女が顔を真っ青にして肩を揺らした。
良く見ると美少女はオレと同じ制服を着ていた。
コイツも…立海大付属か…。
家遠いのか…。
…ん?
『おぃ。あんた…』
ソイツを凝視しているとソイツの体に2本、それも両方バラバラの別人同士の腕がまとわりつき、胸やスカートの上から太ももを撫でていた。
「Σ(ビクッ」
美少女は俺が気付いた事に驚いたのかオドオドと怯えた表情しながら涙目でオレを見詰めてきた。
『ッチ…しゃねーな。』
オレの背中はちょうど、座席の壁。
満員電車と言ってもある程度は身動きは取れる。
美少女をまさぐっている腕をたどり、犯人を見ると脂ぎったデブなオッサンとボサボサ頭の冴えない会社員らしき青年にたどり着いた。
『お前、ちょっとオレのカバン持ってろ。』
確認したオレは美少女に向かいカバンを差し出した。
「ははいぃ。」
噛みすぎだから…。
『そら、よっと。』
「きゃっ!?」
オレのカバンと自分のカバンを抱えた美少女の肩を掴み自分とコイツの位置を反転させ、交代させた。
「あ、あの…」
戸惑っているコイツはオレの顔色を伺ってきた。
『…わりーな。次の駅まで我慢してくれ。』
シニカルに笑うと何故かコイツは顔を真っ赤に染めた。
行き場をなくした痴漢の手は次はオレの体を撫で始めた。
くそ気持ち悪りー。
拳を握りしばらく耐えていると、電車は駅で止まり、だいぶ客が降りて行き、痴漢の犯人はまだ乗っていた。
『ぉぃ…。』
かなり広くなった車内。
反撃開始と洒落込もーじゃねーの。
。
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