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『素直だね。馬鹿正直な奴は嫌いじゃない。…序でに教えてやるよ、お前が捜す三人の居場所を』
少年についてきて約二十分。さすがに疲れてきた。少年は私の疲れを見計らったかのように足を止める。そして人気のない路地裏を沈黙が覆う。
「……。…ねぇ」
「黙って」
…なによ。せっかく沈黙を…。と不貞腐れていれば少年が私の手を引いた。
「…? どうしたの?」
「奴らはこの先に居る。…でも、逢えば君が哀しむだけの結果に成りうる。……どうしたい?」
………私は…。
「――――――――『逢う』」
例えどんな結果になろうとも、それは運命だから。
そう答え、少年に視線を向けると儚げに微笑んでいた。
「…そう。『逢う』んだね」
「『逢う』わ。どんな結果でも私は逃げない」
「そっか。…きっと、彼らは君を忘れているかも知れない。生きているかも知れない。彼らのどんな姿を視ても……『逃ゲダサナイデ』ね?」
「うん」
彼らはきっと。喜ぶよ。
と小さな声で少年が呟いた気がする。
さぁ、痛い足を踏ん張って。彼らの笑顔を見るために。私は路地裏から走り出した。
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