プロローグ

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 かつて闇の女王と言われた魔女が世界を恐怖に陥れてから20年、八人の王と賢者の力によって世界は再び光を取り戻しつつあった。だが、今だに人々の心には深い傷が残っている。唯一の救いは、今の子供たちの多くはその過去を知らないということ。闇の女王は賢者となり、奪った命の償いとして世界を守っている。そのため今の子供たちの多くが、闇の賢者がかつて非道の限りを尽くした闇の女王だとは知らないのだ。だが、大人たちは決して闇の賢者を認めない。それは子供たちにも伝わり、闇の賢者は悪い賢者だと思われている。実際に何をされたわけではないが、親が憎む存在をよく思わないのは当然だろう。そして闇の賢者の弟子となった王子『シグ・グローリア』もまた、世界からは冷たい眼で見られている。だが、それでもシグは弟子を続けていた。それは彼が闇の賢者を慕い、信じているかだ。これはそんな世界の物語である。
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