月影

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最近奇妙な噂が街を支配している。   深夜駅前の広場で怪しい薬を売っている女がいるというのだ。 その薬を飲むと大変なことが起こるらしい。   隆はある日、友達と2人で噂が本当なのか確かめるため、深夜2時に待ち合わせをして駅に向かった。   「本当だったら薬飲む?」 「当たり前じゃん!」   そんな話をしながら歩いていくと、深夜にもかかわらず人が多い駅前広場に辿り着いた。   隆は辺りを見回してみた。   「いないじゃん」   隆はうなだれた。 内心かなりこの噂を信じていたからだ。   「隆、俺ちょっと自販で飲み物買ってくるわ」   そう言って友達は席を外した。   隆は1人ぽつんと地べたに座り込んだ。 行き交う人は隆のことなど気にも止めない。   しばらくして隆は異変に気がついた。   「人の流れが途切れた…」   急に人がいなくなった深夜の広場。   隆は遠くに人がいるのを見つけた。 その人は黒い頭巾を被って俯いている。 男か女かはわからない。   「もしかして…」   隆はゆっくりと近付いていった。
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