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もし空を飛べたら…
もし足がもっと速かったら…
敬介は幼い時から『もし…』とよく口にしていた。
そんなある日、敬介の目の前に翼を持つぼろきれを纏った男がゆっくりと降り立った。
「お前は選ばれた。お前が願うこと、何でも1つ叶えてやる。1日やる。ゆっくり考えるんだな」
そう言うと男はスウッと消えてしまった。
「今のは…夢?」
敬介は自分の頬を思い切り叩いた。
「い、いたい…」
敬介は自分の頬をさすった。
「夢じゃないのか!叶えてほしいことはたくさんある…何にしようか」
敬介が一晩考えて決めた願いはこうだった。
「たくさんのお金がほしい!」
敬介はうきうきしながら昨日男に出会った場所まで歩いた。
その途中、なんと敬介は通り魔に出くわしてしまい、脇腹を包丁で刺されてしまった。
「ぐ…痛い…痛いよ…」
まわりに人はいない。
敬介は脇腹を押さえながらゆっくりゆっくり目的地に向かって進んだ。
「あ、あそこだ…」
敬介の視線の先にはまるで骸骨のような男が立っていた。
「願いを言え」
「あ、あ…」
敬介は力尽きた。
「バカな男め。俺は死神だ。願いなんか叶えるわけないだろう」
そう言うと男はゆっくりと姿を消した。
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