その日は音もなく忍び寄る

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「よく来てくれたね」   達雄は今宵集まった3人に笑いかけた。   「みんなの自慢の作品を披露するにはやっぱりこれじゃないとね」   そう言うと達雄は大スクリーンを自慢げに広げてみせた。   「さすがですな」 「さぞ高かったでしょうに」   「少しかかりましたがね。なぁにこれくらい。さぁ!始めましょうか!まずは私から…」   そう言うと達雄はDVDプレイヤーを起動させた。   そう、今日はそれぞれが持ち寄った自作映画の披露会なのだ。   「まぁ、見てやってください」   達雄は部屋の照明を絞った。   「おぉ、これはクレイアニメですな!」   画面には粘土でできた人間や動物が元気にはしゃいでいる姿が映し出されていた。   「かなり根気のいる作業でしたよ」   「いやいや本当に素晴らしいですな」 「おっしゃる通りです」   3人のうち2人は達雄の作品を褒めたたえた。 しかし、後の1人はブスッとした表情で、   「ふん、実にくだらない。あんたは何もわかっちゃいない」   と言った。
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