愛ある場所で[***]

社員食堂

これまでの言動から察せると思うけど、加原に何故だか好かれている。

栄養士としてこの食堂に就職して早３ヶ月経つけど、特になつかれるようなことをした覚えはないのに…

カチャリ…

「ふぅ…」
「津村さ～ん！」

バタバタと駆け寄ってくる加原は満面の笑みだ。

「今お帰りなんですね。俺もなんです！タイミングが合うなんて嬉しいなぁ♪」

食堂の鍵を締めるところに加原が現れるなんて、よくあること。
と言うか…夕方の中途半端な時間に普通の社員が帰るなんておかしな話だ。

「……そうですか」
「はい！」

最初に聞き逃してから、ずっと質問出来ずじまいで今に至っている。
まぁ『どんなお仕事を？』なんてありきたりな世間話を挟む前に加原の方から、

「こないだ、教えてもらったパスタ実践したんです」
「あぁ、美味く出来ましたか？」
「もっちろん！津村さんの直伝レシピをきっちり再現しましたよ！」

率先して話題を振ってくるから口を挟ませてもらえないと言う方が実状だけど。