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「やれば出来るはやらなきゃ出来ないって言うもんな…」
ビールはもう4本開けた。
ぼろっちいアパートの一室で飲んだくれ一人愚痴る俺。
『保川っ!頼むよお前が適任だと思ったからさ』
さわやかな笑顔の親友が言った。
『お前の頼みなら…聞いてやらんことも、ない』
んだーッ!!何ガキみたいなこと言ってんだ俺!
目の前の締切にすら間に合わせられない引き延ばし大王が!
すっすすす好きな…野郎に頼まれたからってホイホイ受け取ってんじゃNOーーーー!!!!
「恋愛小説の紹介なんて…」
ペラリ
めくった小説のあらすじが書き込まれた用紙。
「このままでも…よくね?」
『保川からのアオリが欲しいんだよ!』
「俺はお前が欲しいんだよ!他人の恋愛話を盛り上げる余裕なんてあるか!」
ガンと叩き付けた更なる空き缶を放り投げ天井を見上げる。
「…………言ってて虚しい」
次の日
コピー用紙に打ち出した文章を棒読みで読み上げる。
「『純粋に好きな話だ。ページをめくる度に直接的直線的な愛が見える。中身を受け付けられない奴でも、登場人物達に揺れ動く愛情があるってことを気づいて欲しい。by保川五斗』」
「OK~やらないよりかマシ~」
「お前編集者になってから性格悪くなってないか?」
「保川は作家になって随分ロマンチストが出てきたよね」
……仕方ねえだろ。ただ今初恋再来中なんだからよ;
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