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普段ならこの流れで迷わず肉欲を取る。絶対取る。男なら当然だろ。
だが、若狭は初の合コン主催。
しかも直前で人員を募集し、俺は二つ返事で行くことを了承してしまった。
ただでさえ若狭には代返やノートの代筆などの日々の借りが…いち、にぃ、さん、しぃ…
いつも眉尻をさげて引き受けてくれる若狭の顔が思い出された。
チリも積もった上に今回もブッチしようものなら、今後そう言うお手伝いはやってくれなくなるかもしれない。
まだまだある大学生活のラクさをとる一択が俺には大きく見える。
「悪ぃ、また今度な」
「え?」
『意味わかんない』と言う顔のセフレを置いて足早に駅前へ戻った。
出来る限り全速力で、けれど出来るだけ乱れないように待ち合わせ場所に向かう。
いやぁだって、汗だくで合コンに参加って軽く引くじゃん?
人通りが多くなってきた辺りで一度、ショップのガラスを覗いて髪を整える。
交差点に着いたとき信号が丁度赤になってしまった。
俺は軽く舌打ちして、ふとあることに気づいた。
向こう岸に若狭がいる。
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