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若狭はガードレールに寄りかかり、枯れた枝みたいにくすんだ顔をしてうつむいている。
「何やってんだアイツ」
思わずもらした声に俺は口を塞ぐ。
本当にどうしてここにいるのか分からない。
何故なら待ち合わせに俺が30分以上遅れていたのであれば他のメンバー共々、飲み屋に入店しているはずなのだ。
若狭が飲み屋にいなければ場を回すのが他の奴の仕事になってしまうじゃないか。
うちのサークルの合コンは、役職が決まってる。
まず、しとめたい相手がいると宣言する。(または相手を作りたい奴が合コンを希望する)
そしたらそいつとは違うタイプのメンツを揃えたり、目標の相手の知り合いなどが揃えられ、囃し立てる役回りを担う。
で、主催が誰と誰をくっつけたいか配慮しつつ、場を回す雑用要員となり目標が予定外のメンツとくっつくことを阻止する。
言うなれば、ガッチガチの追い込み漁だ。
いくら不真面目サークルでもこの勝負の場所での『鉄の掟』は破ることは許されていない。
それを、誠実とか真面目を着こんでいるような若狭が知っていて破るはずがない。
疑問が晴れないまま信号は青に変わった。
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