19人が本棚に入れています
本棚に追加
またあの格好いい微笑みを見せて俺を手招いた。
「まずは入口から。外装だけはそのままをいかしてお出迎え。貸しスタジオだなんて滅多にいらっしゃらない方々だからさぞ驚かれるだろうね」
俺をエスコートしながらの解説はスッゴく紳士的に始まった。
「お金持ちの方とか…ですか?」
「ああ、最近急成長された会社の御曹司もいらっしゃるね」
「へぇー、そうなんすかぁ…」
ナチュラルに腰に手を回されてるのは、金持ち相手だから…なのかな?
「受付、内装はバーのように。奥に進むにしたがって徐々に変化させていく。照明にランプの色を差していく感じかな」
この貸しスタジオの扉は3つ。小スタジオ・大スタジオ・控え室。
スタジオは小でも立ち見で20人位までは入るサイズだ。
だが、そこの扉は倉庫として使う為埋めてしまうらしい。
「じゃあ一室だけのホテル…」
残りの2つの扉を見てそう言ったのを、待ってましたと満面の笑顔を見せた。
「大スタジオのコンセプトはパーティー会場にして、ここから先がこのホテル最大のポイントになる予定」
ガチャ
キィー…
ゆっくりと開けたのは、さっき俺が掃除をしていた控え室だった。
「ここがポイントですか?」
「おや、分かりません?先程も言ったようにガラスをいくつかはめこみ隣の大スタジオを覗くことが出来るようにする」
「……のッ!?」
「これで覗き趣味の方のご要望も応えられるようになりますよ」
えっ…えーーーー!!;金持ちにもやっぱ変態がいるのか!?;
オーナーはまだまだ語りたいようで、控え室内をくるりと廻りながら様式はどうだとか、何とかを基調にとか分からない単語を連発している。
えええ!?普通なことなのか!?;ととととりあえず、俺の分かりそうな話題!話題に…!
「オーナーさん!あの!オーナーさんはいつもここでどんなお仕事をするんですか!?」
「?私ですか」
また、ふむ…と腕を組む。癖なのかもしれないがそれが格好よく様になってる。
やっぱこの人もお金持ち的トップの人間なんだろうな…
最初のコメントを投稿しよう!