一章

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そんな佳穂に栞だって引かないわけで 「じゃあ、塾終わった後は?」 「……7時からなら、多分「本当!」えっ、う、うん。」 しばしの沈黙の後、渋々といった感じで発した佳穂の声と栞の盛大に喜ぶ声 第三者から見たら、おもちゃを欲しがる子を甘やかす母みたいだ 「で、でも、7時からで栞は大丈夫なわけ?」 「うん!」 「……暗いのに親心配しない?あたしは塾が長引いたって言えば大丈夫だけど」 「夜に遊ぶなんて、いつものことだから、今さら心配しないよ。それに今日は2人とも11時すぎまで帰ってこないしね! じゃ、そういうことで 待ち合わせ場所は後でメールするね。じゃあお先に~」 「うん…あとで……」 笑顔で教室を後にする栞に おそらく、栞には聞こえないであろう、今にも消えそうな声で見送る佳穂は 後悔した。 これが始まりだったのかも知れないのだから。
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