育斗14歳の夏

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今日で一学期も最後。明日から夏休みに入るが、皆の明るい顔とは裏腹に俺の表情は冴えなかった。 どうしても昨日のことが引っ掛かる。お袋が俺のことを認めてないのは、俺がまだ頼りないからなんだろう。 周りからも仕事が出来て信頼されるようになればお袋も自然と俺のことを頼りにしてくれるに違いない。 俺に足りないのは仕事の経験だ。それは分かってるんだけど… 「育斗、お前なにボーっとしてるんだよ!考え事か?ムリムリ。考えるだけ無駄だぞ」 こいつは小学生の頃からの付き合い。幼なじみで、なんでも言い合える仲の桑原迅。あだ名は短くまとめてクワジだ。 「なんだよ!俺の頭じゃ考えるだけ無駄って言いたいのかよ」 「そうとも言える。つか、らしくねーだろ」 「俺の知ってる育斗は考える前に行動に移してる」 「まあその性格が災いして美耶には10戦10敗だけどな」 「俺の恋愛のことはほっといてくれ。あいつは俺の魅力が分かってないだけだ」 「でも不思議だよな~あんだけお断りしておいてお前ら普通に話してるんだもんな」 「美耶の性格は読めねーよ。あれだけサバサバした態度が取れる女はなかなかいねー」 「つか、ありゃ男だろ。女の皮を被った男だ」 「ちょっと聞き捨てならないわね。私がなんだって」
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