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美耶とクワジは部活と勉強が中心で忙しそうな夏休みだが、俺はとにかく自分でお金を稼いでみたかった。
一応俺もクワジと同じバスケ部に所属しているものの、ほとんど顔を出さないユーレイ部員だ。
これまでは家庭の事情を顧問の島崎先生も察していて、多目に見てくれたが…
「今年の夏は女子と合同で合宿があるらしいぞ。育斗も参加しようぜ」
「美耶も参加するのか?俺も行きたいけどお金の問題が…」
「なんだか参加の動機が不純ね。でも先輩の話だとかなりハードで夜は動く気力もなくなるみたいよ」
「美耶がいればどこまでだって走れるけどね」
「でもやっぱり無理だな。お袋には頼めないし、自分で稼ぐにしても中学生じゃどこも雇ってくれないしな」
俺の参加が難しいことに、これといった打開策が無い。二人とも少しがっかりした様子だったがそれでもクワジは分かる。しかし美耶のこの態度にまだまだ俺にも脈はあるかもしれないと感じた。
「なんだよ~美耶も俺がいないと寂しいのか?うんうん、そうかそうか」
「違うわよ!ただ不公平だなって同情してあげただけ。寂しいとかありえないから」
「寂しい思いさせてすまないが、分かってくれ美耶」
「人の話無視すんな!なんで付き合ってる風なのよ」
神妙な顔で聞いていたクワジが話してきた。
「育斗、お前は嫌がると思って話さなかったんだけどさ…」
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