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(機嫌悪・・・)
人気のない、清涼高校の図書館、三階にある保管・管理室で、明らかに不機嫌なオーラをまとった零に、鈴はこっそりため息をついた。
「お願い。聞いてよ九音寺くん。他に頼る人がいないのよ」
訴えてはみるものの、零は反応することなく、返却された本の表紙と中身が同じであるか、という保管・管理の仕事(バイトらしい)に没頭している。
「斐川(ヒカワ)さんも裕(ユウ)も、九音寺くんに会うために他校から来ているわけだし。少しだけでも」
ばったん。
わざとらしく荒々しい音を立てて零が本を閉じる。
が、すぐに手近な別の本をたぐり寄せるのを見て、作業を止めるつもりはないのだと鈴は悟った。
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