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(でも)
話は聞いているみたいだ。
(こうなったら駄目もとでいい)
軽く咳払いをすると、何がそんなに気に入らないのか、怒ったままの零の背中に鈴は勝手に語り始めた。
「斐川友美さんと狛江裕・・・裕は私の幼なじみなんだけど、二人は駅近くの新地区にある第一高校の二年生なの。斐川さんの彼氏だった鷹成流星(タカナシリュウセイ)さんも、同じ二年生。この鷹成さんは、三ヶ月前に事故で亡くなったそうで・・・」
亡くなった、という言葉に、鈴は思わず言葉を切った。
親友だった小堺早智が死んだのは、そう遠い過去ではない。
そばにいた人を亡くす、あの耐え難い喪失感を、鈴はよく知っていた。
「・・・・」
妙に空いてしまった間に、鈴の悲しみを察したのか、ちら、と零が視線をよこした。
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