亡霊の徘徊

4/11
2737人が本棚に入れています
本棚に追加
/547ページ
(でも)  話は聞いているみたいだ。 (こうなったら駄目もとでいい)  軽く咳払いをすると、何がそんなに気に入らないのか、怒ったままの零の背中に鈴は勝手に語り始めた。 「斐川友美さんと狛江裕・・・裕は私の幼なじみなんだけど、二人は駅近くの新地区にある第一高校の二年生なの。斐川さんの彼氏だった鷹成流星(タカナシリュウセイ)さんも、同じ二年生。この鷹成さんは、三ヶ月前に事故で亡くなったそうで・・・」  亡くなった、という言葉に、鈴は思わず言葉を切った。 親友だった小堺早智が死んだのは、そう遠い過去ではない。  そばにいた人を亡くす、あの耐え難い喪失感を、鈴はよく知っていた。 「・・・・」  妙に空いてしまった間に、鈴の悲しみを察したのか、ちら、と零が視線をよこした。
/547ページ

最初のコメントを投稿しよう!