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視界一杯の灰色が曇り空だと理解するまで、自分が仰向けに倒れていることに気がつかなかった。身体中の感覚が麻痺しているらしい。
「……」
唇をどうにか開くが、声は一切出なかった。喉がどうしようもなく渇いていて、掠れ声すら出ない。
「……」
死ぬのだろうか。あんな思いをしてまで、逃げ出したのに。
こんな、自分がどこにいるのかも分からないまま、一人で。
「……」
嫌だ、と思う反面、どうでもいい、とも思う。兎に角疲れていて、何も考えたくなかった。
「……ありゃ?」
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