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一瞬、幻聴かと思った。
「なんか高度な空間転移魔術だったから、魔女長でも攻めてきたかと思ったのに」
しかし、幼いその声を事実と裏付けるかのように、足音がする。
「死にかけの魔女が、一人? ちょっとがっかりかも」
灰色一色だった視界に、誰かの白い顔が入ってきた。
そこで漸く視界がぼやけていることに気がつく。
「……なんで泣いてるの? 魔女さん」
「……!」
ないてる。泣いてる。
眦の辺りを伝うこれは、涙なのか。
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