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ぱちぱちと、木が燃やされてはぜる音が聞こえてきた。
「……」
目をうっすらと開いてみると、薄暗い室内の天井が見えた。体が仰向けであることと、横たわっているのが地面ではなく、どうやら寝台であることをおぼろげに理解する。
「……あ、起きたカンジ?」
「……」
先程話しかけてきた声が聞こえて、音源の方を向く。
自分がいるのは狭い客間だった。視界に映るのは、こじんまりした扉、白っぽい壁紙、赤々と燃える暖炉、小さな机と椅子のセット、そしてその椅子に座る少年だった。
年齢はよくわからないが、背の低さから十代前半と推定できる。逆に咄嗟に推定しかできないのは、その少年が半分に割った仮面で顔の右半分を覆っていたのと、室内だというのに黒いコートを着てしっかりとボタンを閉め、フードを目深にかぶっていたせいで、顔つきがよく見えないからだ。
片方だけの目は黒く、光沢がなく濁って見える。肌は不気味な程に白かった。
それはまるで、死人のように。
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