覚醒

3/13
前へ
/97ページ
次へ
「大丈夫? 水とかいる? ボク言われないとわかんないからさ、生きてる人のことは」 「……」 少年が屈託なく笑って言った台詞に、自分の感想が当たっていることが確認される。 「……黙らないで……って声が出ないのか。やっぱり水持ってくるよ」 少年は立ち上がり、部屋を出ていった。 「……」 木がはぜる音に耳をすませて、漸く自分が生きているという実感が湧いてきた。恐らく、あの少年に助けられたのだろう。 「……」 そのまま何をするでもなく天井を眺めていると、硝子製の水差しを抱えた少年が戻ってきた。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加