カミナリ

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それは忘れもしない、中学生活にも慣れてきた六月。 いたる所であじさいが咲き乱れ、梅雨時のじめっとした風景に、鮮やかな彩りを添えていた。 その日、僕等は放課後、毛糸で作ったボールと、先がボサボサになりすぎて使い物にならない、ほうきのバットを使い野球をしていた。 まだまだ幼かった僕は、廊下で周りの注目を浴びている自分を、イケてると思っていた。 僕に打順が巡ってくる。 意気揚々とバットを構える。 一球目は大きく外れた。 「ヘイ、ヘイ、ピッチャー、ストライク頼むよ」 そう言うと、バットをぐるりと回し、また構え直した。 二球目はど真ん中、絶好球!力いっぱい振り回した。
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