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上から下まで刻まれた相手は力無く倒れた。
大きな音が静まると、静けさが残った。
「泣く暇なんてないんだ……どこか行かなきゃ。逃げなきゃ」
自分に言い聞かせるように呟き、息絶えた魔物に近付く。
もしかしたら食料になるかもしれない。そう思った。
だが、二人。魔物に近付く人達が居た。
「俺の獲物だぞ!」
大声で叫ぶ俺。
相手は大人……と少し年上の少年。
大人の方は肩までかかる赤い髪の男で、タンクトップを着ていたため少しワイルドな印象だった。少年の方は短い黒い髪でおとなしい顔立ちだ。
どちらも比較的綺麗な服装だった。
「君はエデナの?」
俺の言葉を無視して、赤の男が質問をしてきた。
「ああ」
怒りを抑えずに答える。
「君は強い意志と、くじけない心を持っている。少なくとも俺にはそう見えた」
「?」
その時は意味がわからなかった。何を意味して言っているのか。何が言いたいのか。
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