序章 終結と始動

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実はこの人、昔は相当強かったらしい。 片方は黄、片方は紫の刃を持った双剣を振り回し、敵を圧倒したらしい。 その姿はまるで天使と悪魔をまとった騎士。 今は銀髪に白髪、白のローブと、見る影もない。 しかし濃い青をした瞳だけは、なかなかの威厳を持っていた。 「思い出に浸ってただけです」 「思い出に浸っていたとしても瞑想をサボった事には変わりないぞ。いいか? 瞑想というのはだな……」 苦し紛れの言い訳をすると、ルーチさんの説教が始まった。言わなきゃよかった。 まあ、言わなくても説教は始まっていたと思うが。 「瞑想は魔力を底上げする最良の手段。意識を集中させ、より深みへと思いを巡らせる」 わかってる。わかってるんだ。この説明は何度も受けたから。 「では、何故魔力を底上げしなければならないかわかっているか?」 ろくに話を聞いていなかった俺は、突然の質問に一瞬戸惑う。
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