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そこは小さな村でした。
真っ白な髪の少年、フレインは、湖でサーフィンをやっている父親のもとに向かっていました。この時、彼は8歳です。
フレイン「父さーん!」
フレインの父「ん?フレインか。どうした?」
フレイン「母さんが、母さんがいつものー!」
フレインの父「なに!分かった!すぐに帰る!」
フレイン「うん。急いで」
フレインの父「まったく!休みがあるとすぐこれだ」
フレインの父親は、有名な魔法使いでした。その道で知らぬ者はいないほどの人物です。
そんな父親はしかし、この小さな村に住み、離れません。理由は非常にシンプル。
都会にゃいい波はねえ。
父親は、根っからのサーファーでした。
フレイン「……母さん、大丈夫かな」
パルス「よぉ、フレイン」
フレイン「パルス」
パルスは赤い髪の男の子。フレインと同い年です。
パルス「さっきお前の親父さんがサーフボード膝で割りながら走ってったけど、いつものアレか?」
フレイン「そうなんだよ。母さんのアレ?」
パルス「大変だな、お前んちの母さん。腐女子モード発動したら周りにBLを強制する、なんて……」
フレイン「仕事が休みの日はいつもBL漫画とか小説とか読んでるから……」
パルス「しかし、いいねぇ。親父さんが一言、愛してる、と言えば元通り、なんて……」
フレイン「お前いくつだよ」
パルス「8ちゃい」
フレイン「子供ぶるな!」
ペルム「あ、あの、フレインくん」
フレイン「ああ、ペルム」
ペルムはピンクの髪がキュートな7歳。パルスの妹。両親共に魔法使いですが、都会の方で仕事をしています。今は休み中で、家に戻ってきていました。
ペルム「ね、今日、ゼンドくんの誕生日なの。お祝い、してあげない?」
パルス「あ。そういや今日だったな」
フレイン「僕はすでにプレゼントも用意してある」
パルス「なにぃ!ずっけぇずっけぇ!」
ペルム「忘れてたお兄ちゃんが悪いんだよ」
パルス「だってゼンドはこの村に来てあんま経ってねーし、あんま話さねーし、あんま食わねーし」
フレイン「いいじゃない。村に来たんだから友達だろ?」
パルス「そうなんだけど……なんかあいつ、不気味だよ。ゼルもそう言ってるし」
ペルム「他人の悪口はよくないよ」
パルス「気味わりいんだもん」
ペルム「だからよくないって」
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