■□腕の中□■

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「……陽菜?」 大丈夫、気付かれてるわけない。 なぜ声をかけてくる。 ぎゅっと目を瞑り、ひたすら寝ることに意識を集中した。 いつもはギネス記録並みに早く寝られるのに、どうしてこういうときに限って睡魔がやってこないんだろう。 灰皿にタバコを押しつける音がして、ベッドが軋んだ。 不意に髪を撫でられて体がピクッと反応してしまう。 「起きてるんだったら返事しなさい」 耳元で囁く、低めの掠れた声。
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