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水野は勢いをつけて上体を起き上がらせ、刺さったままの得物を何食わぬ顔で引き抜いた。
多少の出血は仕方がない。
そうして例の男の方を見て──唖然とした。
「……何やってるんや、オマエ」
頭部を失った男の胸部に、何処の家庭にでもある普通の包丁が深々と一本刺さっている。
その包丁の柄を握っているのは、水野によって生きることを強いられることになった少女だ。
少女は水野に気付くと、にっこりと屈託のない笑顔を見せた。
血生臭いこの状況にはあまりにも不釣り合いな、鮮やかなまでの笑顔。
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