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殺人鬼と呼ばれることに、差して嫌気を覚えたことはなかった。
殺人鬼と呼ばれることに、差して喜びを覚えたことはなかった。
殺人鬼と呼ばれることに、差して嫌悪したことはなかった。
殺人鬼と呼ばれることに、差して誇りを抱くことはなかった。
殺人鬼として世に名を馳せることになる以前から殺人鬼であり、殺人鬼としての自分が自分であり、殺人鬼としての自分が普通のことであった。
殺人鬼という名称に自覚はない。
自覚はないが、紛れも無い殺人鬼であると認知はしていた。
殺人を犯すことに理由などなかった。
殺人はあくまで生理的行為の一貫でしかなかった。
そこに人間がいたから殺してしまった。
殺そうと計画して殺したんじゃあない。
気付いたらいつも勝手に死んでいるだけだ。
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