(うたう)

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── ─ どこと無く自分に似ている気がする──それが第一印象だった。 それは今目の前に対峙している一人の男に感じたものだ。 右目に眼帯をしているのが何よりも真っ先に目につく。 全身黒ずくめの服装から見え隠れする四肢には包帯が巻かれており、重たげな首輪が飼い犬の証のように付いている。 首輪から垂れる僅かな長さの錆びた鎖が気にかかった。 それらの目立った特徴を除くと、顔立ちや背丈がまるで鏡を見ているかのように似通っているのだ。 「よぉ、兄弟」 男が口を開いた。 その声は、水野よりも幾分低い。 .
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