(うたう)

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男性教師は慌てた様子でテキストを一読し、 「全問、正解……」 いかにも悔しげな表情を浮かべ、頭を抱えていた。 教室中に歓声と戸惑いの声が響き渡る。 水野はそれらを全て無視する。 頬杖をつき、数分前と同様の状態へと戻った。 必死に勉強をしたことはない。 ただ、知っていた。 見た瞬間にどうすればいいのかが思い浮かんで、頭が勝手に答えを導き出していた。 その答えを口にしただけ。 今までに何度も演習を繰り返してきたかのような、身体に染み付いているとも言える感覚。 いや、遺伝子に載っている情報を開示しただけか。 .
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