(うたう)

14/145
前へ
/478ページ
次へ
そしてゆっくりと顔を上げた。 ゆっくり、のっそりである。 記憶にない女。 いや、クラスメートなんて誰一人記憶していないわけだけれど。 ショートヘアで活発そうな、運動部の主将でもやっていそうなイメージ。 誰とも知らぬ女は仁王立ちで腕を組み、 「ちゃんと生きてるんじゃん」 謝罪の言葉よりも先に失礼なことを言いやがった。 死んだ人間が座っているとでも思っていたのか。 一発殴ってやろうか、そんな気持ちを表面に出さまいと押さえ込む。 何故この女が絡んできたのか知るわけがないが、これ以上話し掛けられたくなかった。 .
/478ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1309人が本棚に入れています
本棚に追加