1309人が本棚に入れています
本棚に追加
「殴るぞ」
「それは痛いですねぇ。じゃあ、キスしてくれたら退きますよぉ」
「嫌いになるからな」
「っ……ごめんなさい! 調子に乗りすぎました! 今すぐ退きますから許してくださいっ!!」
代亜はあたふたしながら、血相を変えて直ぐさま離れて行く。
この世の終わりを見たかのような顔だった。
水野はのっそりと起き上がり、深い溜め息をついた。
代亜は三メートルほど離れた場所に座り込み、紺のスカートを力の限り握りしめている。
その手は小刻みに震え、今にも泣き出しそうである。
その目には涙が溜まっていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!