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その席で、不意に、政宗が血を吐いた。
あまりに突然のことだった。
家臣達は一様に色を失い、おろおろと右往左往した。
誰が毒を盛ったのだ。
毒味はどうした。
そんな怒声が飛び交う。
「大丈夫ですか!?」
愛姫は慌てて夫の背をさすった。
政宗は緩慢に首を振って、愛姫の瞳を真っ直ぐに見上げた。
その目はおそろしく真っ直ぐで、冷たくて。
少年が向ける目などではない。
「…俺は」
ごぼりと、血が溢れ出す。
「登りつめるためなら、どんな汚いこともする」
「なら、わたしが支えます、どんなことでもします…!」
愛姫の言葉に、言質は取ったとばかりに、政宗は悠然と笑んだ。
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