四話「怪盗」

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 ――その晩。  ダンの好意で、ハンターギルドの二階を一晩借りる事にした三人。  部屋はお世辞にも綺麗とは言えなかったが、ベッドもあり人数分の毛布が用意されていたので、一晩明かすには充分であった。  シェイドとグローは木の板を張り巡らした床に、それぞれ毛布にくるまりながら、ひっそりと寝息を立てていた。  クリマは一人ベッドに入っていたが未だに眠れず、上半身を起こし窓から見える夜空を見ていた。 「(今さっきのエリアの攻撃……明らかに重かった」)  クリマは両手をゆっくりと上げる。すると、両手は未だに痺れているようだ。 「(あんなに重い攻撃……それに、聞き取れなかったけど何かを呟いていた。あれは……)」 「クリ……マ?」 「!」  ベッドの下から声が聞こえ、身体を少し震わしてクリマは声がした方へ振り向く。
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