五話「封印」

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 ――霊峰 アルボル山。  入り口付近はある程度の道は整えてあるが、少し道を外れると木々や草が覆い繁っている。  そして結構な急勾配で途中でリタイアする人も、そう少なくないようだ。 「しっかし……シェイドは安請け合いしすぎだぜ~」 「そうかな? 困ってるのにほっとけないよ」  三人は斜面をゆっくりゆっくりと登っていた。  グローは文句をブツブツと言いながら、空を見上げる。天気は晴天で良好。空気も良いので、晴れ晴れとした気分となり、あまり疲れが湧いてこない。 「霊峰……聖なる山か。野獣の気配もないわね、これなら時間ロスもなさそう」  クリマは周りを見渡しながら、横目で二人に囁く。 「それより洞窟かぁ……中はどうなっているんだろ?」  シェイドは目をまるで子供のようにキラキラと輝かせながら、二人に問う。
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