五話「封印」

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「山に獣が居ない分、ここには居たりしてな!」 「グロー! 冗談はやめてくれっ」  シェイドは、冗談を言いながら嫌な笑いをするグローに叱正した。 「はは、ごめんごめ……」  グローの口が止まった。――悪い冗談が現実となり目の前に現れてしまったようだ。  人間の上半身くらいの大きさに進化した蜘蛛数匹が、三人の目の前に立ちはだかった。 「……く、も……」 「しかも、異様にデカイような気がするぜ」 「四の五の言わないの! 来るわ!」  そう三人が御託を並べていると、蜘蛛は三人に向かって、糸を吐きながら飛び掛かって来る!  シェイドは鞘から剣を抜き、グローは拳を顔の前で構える。 「二人共っ! 武器を私に向けて!」 「りょ、了解!」 「わかったぜ!」  二人は狭い通路で必死に蜘蛛の糸を避けながら、クリマに武器を向ける。
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