五話「封印」

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 クリマは手を前に突き出しながら、目を瞑り始める。 「“輝き燃ゆる炎の神よ 我に更なる力を与えよ……ルベオ”」  詠唱が終わると同時にシェイドの剣の剣先、グローの手の甲が赤く光出した。 「武器に火属性を付加さしたわ!」 「おっ! ありがたい!」  そう呟き、グローは後方から飛び掛かってきた蜘蛛に正拳突きを繰り出す。蜘蛛の急所に当たったらしく、体液を口から吐きながら地面に落ち、痛み悶えるように痙攣を起こす。  すると蜘蛛の体が発火した。これこそが火属性の付加の威力であった。  だがその瞬間、グローの手の甲から赤い光が消える。シェイドの武器も同様に、蜘蛛に一撃を喰らわした瞬間、光が消えてしまった。 「!」  クリマはそんな二人の武器の状態を見て、周りを伺う。そして何かに気付いたらしく、クリマは槍を手中に召還させ、身構える。
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