五話「封印」

14/22
480人が本棚に入れています
本棚に追加
/318ページ
『声紋認証。コードネーム「WS」封印を解除します』  機械音声がそう鳴ると、二つのガラス菅の中の液体が急激に減っていく。そして全ての液体が無くなった時、ガラス菅が真ん中から縦に割れ扉のように綺麗に開く。  すると中の人間がそっと目を開き、こちらを見つめる。 「ク、リマ……?」  髪と同じぐらい深い緑色の大きな瞳をした少女が、クリマの名前をそっと呟く。クリマは自分の名を呼ばれた事に驚きもなく、その少女を見つめ続けた。 「……! クリマ――!! クリマでし、クリマでし、クリマでしよ!! シャンテー!」 「……聞こえている」  少女はクリクリな目を輝かせながら、白いワンピースの裾を翻しぴょんとクリマに抱きついた。  その横からシャンテと呼ばれた長身の男が、黒いマントを羽織って、クリマに近づいていく。
/318ページ

最初のコメントを投稿しよう!