Ⅰ:始まり

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俺は山の中を歩いている。   別に普通の山っぽいけど、なんとなく神秘的な感じもする。   俺がこんな山に登っているのには、まぁ、それなりな理由がある。     昨日の夜泊まっていた宿で会った、酒呑んでたおっさんから聞いた話だ。     「この山にはなぁ、誰にも入れねぇ場所があンだよ」   「誰も入れない場所?」   「そうだ!!そこに入ろうとするとなぁ、元いた場所に戻って来ちまうらしいンだ!!」   「…意味わかんねぇよ」   「まぁ、俺らもあんまよく分かってねぇンだけどよぉ、とにかくそこには入れねぇらしいぞ。」   「…そこに何かあんのかなぁ?」   「なんでも、でっけぇ卵があるって話だぞ!!」   「何で誰も行ってねぇのに分かったんだ?」   「さぁな。昔この村に来た旅人さんが言ってたらしいぜ。」   「へぇ…」   「兄ンちゃんも行ってみたらどうだ?同じ旅人さんだし、もしかしたら行けるかも知れねぇぜ!!」   「…う~ん…考えとくわ」   「そうかぃ。ま、何ンかあったら知らせてくれや♪」   「おぉ、いいぜ」     気さくなおっちゃんだったなぁ…   …じゃなくて。   まぁ、そんなワケで、俺は卵を探しに来てるんだ。   どこにあるのかとか、そんなこと一切聞いてナイって気づいたのは山に入ってからだった…
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