Ⅰ:始まり

6/8
前へ
/54ページ
次へ
何をすればいいのか分からない。     ただ、近くにくるとはっきり分かる。     『俺は、こいつに呼ばれたんだ。』     その時、今度は足ではなく、手が動いた。   瞬時に悟る。     『触れてほしいのか』     この卵は、いったい何十年、この場にいたのだろう。   昔あの村にやって来たという旅人は、この卵に何もしなかったのだろうか。     ずっと独りで、待っていたんだろうか。     「大丈夫。もう、独りじゃないから…」     卵に触れて、そう、語りかけた。         すると、卵が突然光を発した。     目に痛い光ではなく、スゴく柔らかな、暖かい光…   俺の体を包み込み…             気づくと光は消えていた。     目の前の卵は、無くなっていた。   「!?」     変わりに、目の前には
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加