七月二十八日①

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「そりゃ悪かったな。 ふぁ~」 俺はだるそうにあくびをする。 俺は低血圧なんだ朝からそんなに騒がれたらたまったもんじゃない。 「……もういいわよ。起きたんなら朝ごはん食べにおりて来なさい」 そうはき捨てて祐美は不機嫌そうに階段をおりていく。 「マズったかも」 俺の双子の姉、祐美は双子のくせに俺とは全く違い、容姿端麗頭脳明晰。 しかも人当たりのいいことで評判だ。 しかしそれには裏がある。 まぁさっきの様子みたらなんとなくわかるとは思うが。 とりあえずこれ以上祐美をおこらせまいと俺は立ち上がり着替えてから階段を降りて、リビングに向かう。 「おはよう。 祐ちゃん」 リビングのドアを開けると俺を出迎えたのは、俺のおふくろ佐久間玲奈。 髪を後ろでくくって団子にしてほんわかとした笑顔を浮かべている。 「おはよう」 軽く挨拶し食卓の俺の定位置につく。 祐美はさっきの怒りが嘘の様に優雅に俺の前の席でコーヒーをすすっている。 なんとな~く嫌な予感がする……………。 そんな気持ちを薙ぎ払うためにも俺も自分の位置に置いてあるコーヒーを飲む。 .
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