第一章 はじまりのはじまり

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 自室のドアを開ける。 俺の部屋は黒を貴重とした質素な部屋だ。 物がごちゃごちゃ置いてあるのが気に食わないので、基本的に物は置かないようにしているからだ。 「出てきていいぞ」  俺がそう言うと、俺の中にいた蓮が出てきた。 <久しぶりの外は気持ちがいいよ>  蓮は出てくると、床にあぐらをかいて伸びをした。  蓮の姿はほとんどはっきり俺の目に見えている。 霊感の無い奴には見えないらしいが、俺の家族は何故か皆霊感が強い。 だから蓮は、一日のほとんどを俺の中で過ごしている。  実体化した蓮は赤と黒の炎のような色の変わった袴を着ている。 そして、少し長めの髪の毛を高い位置で後ろで結っている。 結ってある髪の隙間から、ピアスのついた耳が出ている。  蓮いわく二十歳らしい。
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