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(ツナ)
学校から自宅へ帰った後、自室に入ってすぐに顔が蕩けた。
「おかえりにゃさい!」
「ただいま~」
お気に入りのウサギ(二メートルの結構大きめ)を両手でぎゅうぎゅうに抱きしめ、ツナのしっぽはウサギの足に絡まっている。
でも私から見たら、ウサギに抱き締められているツナにしか見えない。
フサフサとした髪から、ピョコンと出た、三角の耳。
「今日は何してたの?」
「うさぎさんとにぇてた!」
「そう、ずっと寝てたの?」
「だって………」
ぷぅ、と膨れた頬に萌えながら、首を傾げた。
ツナは猫だ。
仕方ない、猫はよく寝る。
いわば仕事のようなものだ。
けれどツナはウサギに顔を埋めて、潤み出した目をこちらに向けてきた。
「……千尋さんがいにゃいと、さびしい…から……
一人ににゃりたくにゃいから…でも千尋さんのめいわくににゃりたくにゃかったから…!」
「!」
千尋は思いっきり、抱きしめた。
この気持ちは、愛しい。
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